足の疾患は様々で、外反母趾、変形性関節症、扁平足などの変性疾患や、足関節捻挫(靱帯損傷)、足関節骨折、アキレス腱断裂などの外傷などがあります。当院ではこれらに対する治療を行っています。
整形外科で行われる治療はまず保存療法(投薬、リハビリテーション、装具療法)と手術加療に大きく分かれます。多くの方は保存療法で改善しますが、中には良くならない方もおられます。その際に手術加療を行うことになります。
投薬加療をまず行うことが多いです。整形外科の投薬加療は痛み止めとシップ、注射がほとんどです。
リハビリ加療ですが基本的にはストレッチと筋力訓練となります。理学療法士の方と共に行っていただきます。リハビリの効果はすぐ出るものではないのでやめてしまうことも多いのですが継続して行うと症状が改善することが多いと思います。
外来でリハビリを毎日行うことは難しいので家で自主的に行ってもらい、たまに病院に来てチェックと指導をしてもらうことになります。
当院で行っている足の外科の治療について。一部の疾患に対しての治療を紹介します。
外反母趾とは、一言でいえば、「足の親指が外側(小指側)に曲がる」病気です。下の写真のように母趾が外側を向いてねじれる状態となります。この親指の曲がりがひどくなると、足が痛くて歩行障害がおき、足は変形して、普通の靴が履きにくくなります。
また、正常な足には、土踏まずにしっかりとキレイなアーチ形状が見られます。
ところが、この土踏まずにアーチ形状が見られなくなってしまうと、土踏まずが伸びて平らな状態になり、足の指の関節が横に広がってしまいます。そうすると、母指は自然と外反転してしまい、結果外反母趾になってしまいます。また下図のように筋肉のバランス異常が起こるので変形が進行していきます。
(足の臨床 MEDICAL VIEW社、改訂3版より引用)
(1) 外的要因
外的要因として最も大きなものに、皆さんもよくご存知の通り靴の不適合があげられます。足に合わない靴、特にハイヒールなどは外反母趾発生の最大の原因と考えられています。
ハイヒールを履くと、足底にかかる体重は前足部に集中するのでこれが変形に関係しているといわれています。
(2) 内的要因
中には全くハイヒールもきつい靴も履かないし、外的要因も全く思い当たらないにもかかわらず外反母趾になっている人もいます。このような人には何らかの内的要因があると考えられます。
発生頻度
男女別で調べてみるとその比は1:10と圧倒的に女性に多いことが知られています。これは女性の方が男性より関節が柔らかいことや、筋力が弱いことなどに起因している可能性があります。
足の形態的特徴
先天的に扁平足である場合や、母趾が第2趾よりも長いタイプの足(エジプト型と言います)、母趾の付け根の関節(中足骨頭)が丸い形をした人などが外反母趾に成りやすい足の形態と考えられています。
遺伝的素因
外反母趾になりやすい足の特徴は親子で遺伝するのでそういう意味では外反母趾は遺伝しやすいと言ってもよいのかも知れません。したがって親が外反母趾の人は注意する必要があります。
軽度なものであれば装具療法や理学療法で軽快することもありますが変形が高度になってしまった場合は手術加療が必要となることもあります。
理学療法
装具療法
母趾を内転させ足底のアーチを保つようなものがさまざま出ていますが。患者さんの変形によって装具士に依頼し作成してもらうことがあります。
手術加療
変形の程度、また他の足趾の変形に応じて手術加療を行うことがあります。多くは中足骨という足の甲の骨を骨切し変形を矯正します。変形が高度な場合は固定術を行うこともあります。
足関節の軟骨が磨り減ってしまった状態で、痛みを伴うものです。股関節や膝関節のほうが頻度は多いですが足首に起こることもあります。
治療は他の疾患と同様に理学療法、装具療法、投薬加療、手術加療があります。進行の程度に応じて治療を行っていきます。手術加療は人工関節置換術や関節固定術を行います。最近では内視鏡を用いた固定術も行っています。
足には3つのアーチがあります。アーチというのは土踏まずのようなくぼみですが、これがへしゃげてくるのが扁平足といいます。扁平足の方で痛みを生じる方が治療の対象となります。投薬、リハビリ、装具療法を行い、改善しない方に手術加療を行います。手術加療は関節を固定したり、骨を移植したり、腱を再建することで足の矯正を行います。
アキレス腱は断裂したり、また腱の炎症が起こりやすいところです。かかと周囲の痛みが出た際はアキレス腱障害を疑います。アキレス腱炎の場合は理学療法、投薬でほとんどの場合が治りますがどうしても治らない場合は手術加療を行うこともあります。手術では骨の隆起を削ります。腱の中に石灰がある場合はこれを切除しますがこの際はアキレス腱を骨に縫い直します。
アキレス腱の断裂では従来手術加療を行っていましたが保存的加療を行うこともあります。
左はアキレス腱の断裂部で腱同士が離れているのがわかりますが、3ヵ月後の検査では癒合しているのがわかります。
再断裂率は保存療法10%程度、手術加療4%程度といわれていますが、報告によりさまざまです。
患者さんの状況に合わせて手術加療、保存加療を行っています。