副腎皮質ステロイド薬は炎症(腫れ/痛み/熱感/赤み)に対する強力な薬剤です。
普通は点眼で使用しますが、病巣が目の表面より奥にある場合、十分な効果が期待できません。
そこで、眼球の周囲に注射/注入し、疾患を治療します。
トリアムシノロンという副腎皮質ステロイド薬を用いますがこれは一回の注入で約3か月間効果が持続すると考えられています。
処置は麻酔薬の点眼、局所注射を行い、十分鎮痛効果がある間に行います。
上まぶたを器具を使ってひっくり返し、結膜に小さな切開を入れ、先の丸い針を用いて炎症で腫れた上眼瞼挙筋~眼瞼にトリアムシノロンを注入します。
処置後、安静などは必要ありません。
感染予防に処置後3日ほど抗生物質を点眼します。
結膜を切開するので1週間ほど充血が認められます。
ステロイドの特性として眼圧上昇が認められます。眼圧が上昇しても多くは眼圧下降薬で眼圧は下がります。しかし、稀に緑内障手術が必要になることもあります。
年齢にもよりますが、白内障の進む可能性があります。
局所治療なので、全身への副作用は少ないものです。しかし、全くないわけではありません。糖尿病の方は血糖コントロールが悪くなる可能性があります。妊娠の可能性がある方、授乳中の方は処置をお勧めしません。
この処置は、病勢が強いバセドウ病眼症の沈静を目的として考案された方法です。
バセドウ病眼症による眼瞼腫脹、眼瞼後退、眼瞼後れといった症状の改善が見込まれます。
約8割で治療効果がみられますが、バセドウ病眼症の病勢が激しい場合、炎症の持続、脂肪組織増生、他症状(複視)出現などがおこります。