眼内でレンズの役割をしている水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。放置すると失明に至ります。
加齢によるものが多いですが、全身疾患や薬剤、外傷が原因となることもあります。
<症状>
かすむ
まぶしく感じる
暗いときと明るいときで見え方が違う など
進行予防の点眼薬はありますが、進行を止めることはできません。
進行した白内障は、手術で加療します。
最も一般的に行われている超音波白内障手術について説明します。
手術は局所麻酔で手術時間は約30分です。
手術ベッドの上で洗眼した後、局所麻酔(点眼、注射)を行います。
手術創切開(約3ミリ)を作製し、水晶体をつつむ袋(カプセル)の前面を切り抜きます。(図1)
超音波乳化吸引装置で濁った水晶体内部を吸引します。(図2)
残った水晶体のカプセル内に人工レンズ(眼内レンズ)を挿入(図3)→(図4)
白内障が進行している場合などでは超音波で吸引できないために大きな切開を用いた嚢外摘出術という手法を用いることがあります。
健康保険が適応される1つのところにピントの合うレンズです。眼内レンズは眼鏡やコンタクトレンズと同様に色々な度数がありますが調節力がないため、白内障手術をしても遠近ともによく見えるようにすることはできません。それを補うために手術後も眼鏡が必要となるのが普通です。裸眼で遠くが見やすいレンズを選択した場合は近用の眼鏡が必要となり、逆に裸眼で近くを見やすくするレンズを選択した場合は遠用の眼鏡が必要となります。
主に2つのところにピントの合うレンズです。眼鏡に依存しない生活または眼鏡の使用頻度を減らす生活が期待できます。現在は健康保険が適応とならず、基本的には自費負担となります。ご興味がおありの方はお申し出ください。
白内障以外に眼の病気がない場合には視力は手術後に改善が期待できます。
白内障だけでなく、他に眼疾患があるときには、視力改善に限界がある場合があります。
また人工レンズの特性のため、術後の色の違和感、まぶしさを感じることがあります。
眼鏡の処方は乱視がおちつく術後1ヶ月以降に可能です。
術中に水晶体のカプセルが破損することがあります。
破損が小さい場合は眼内レンズの挿入は可能ですが、手術時間の延長や術後視力回復が遅れる場合があります。
破損が大きい場合には再手術で人工レンズを縫い付ける場合があります。
水晶体のカプセルと眼球を結ぶチン氏帯が断裂することがあります。
術中にカプセルが眼球から外れることがあります。
術中眼内レンズの挿入、固定が不可能な場合は、眼内レンズを縫い付ける再手術が必要になる場合があります。
眼をうったことがある方や緑内障や高齢者の方におこる傾向があります。
手術中に眼圧が変動することによって眼内出血が生じることがあります。
非常に稀ですがすべての眼手術で起こる可能性があります。
一旦起こると視力の回復は困難です。
手術の創より病原菌がはいり、眼内感染を起こす可能性があります(約0.1%)。
眼内感染がおこった場合、再手術、抗生剤の投与をおこないます。
感染をおこすと最悪の場合失明してしまう場合もあるため、感染予防のためにも術前、術後の点眼は指示通り行ってください。
術後の炎症が網膜の中心(黄斑)に影響を及ぼし、視力回復がおくれる場合があります。
炎症をおさえる点眼も術後少なくとも1、2か月は必要です。
角膜の内皮細胞が減少している場合、白内障手術でさらにそれが減少し、角膜が浮腫状に混濁してしまう場合があります。
術前の角膜内皮細胞の検査が必須です。
術後数か月から数年で、水晶体のカプセルが濁ってきて視力が低下することです。
比較的簡単にYAGレーザーという手術で視力は回復します。