「麻酔科医がついているから、手術室でつらい思いはさせません」とお約束して全身麻酔を担当してきました。
気分良く苦痛や危険の少ない手術を受けていただこうと術中傍で見張ってるそういう役割を20数年間毎日続けてきました。
まず入眠剤を静脈から投与します。
眠った後に口から気管に細いチューブを挿入し、手術が終わるまでずっと麻酔ガスで人工呼吸を続けます。
麻酔中は「切っても痛くない程深く眠っている状態」とも言えます。
そんな状況では、患者の呼吸・血圧も不安定になりますので、麻酔科医は傍らで麻酔の深さや呼吸を調節しているのです。
手術が終って麻酔ガスを止めますと自然に醒めてきます。
気管のチューブを抜き、さらに身体の状態が安定するのを待って、病室に戻っていただくと麻酔の基本は意外に単純なのです。
でも麻酔中の反応は個人差がとても大きいので、個々の患者様の状態に応じて麻酔の方法や薬剤を選んで行います。
また腹部や下肢の手術には「下半身麻酔」の脊椎麻酔や硬膜外麻酔を併用することがあります。
これは脊髄の神経近くに局所麻酔剤を注射して、手術部の痛みを減らす方法です。
うまく効いてくれると術後の痛み止めとしてもかなり有効です。
背中に注射!痛そう!?実はこれも通常眠ってから行っています。
辛い想い出は避けたいですから。
多くの患者様は手術台へ乗って心電図・血圧計をつけるところまで覚えておられます。
でも少し話しをしているうちに、いつの間にか眠ってしまうでしょう。
術前・術後に病室へ説明・見舞いに伺ってお話しますが、目が覚めたら手術が終わってたと皆様術後に回想しておられます。
病気や手術は自分だけの問題にとどまりません。
手術前はいろいろな心配事で患者様の頭の中は一杯になっているでしょう。
私ども麻酔科の立場では、そういった悩みについてはなかなかサポートしてさしあげられないのを心苦しく思っておりますが、せめて気持ちよく安心して手術を受けていただけるよう、術者といっしょに努力しております。
部長 愛新 啓興 |
1998年 岡山大学医学部卒業
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部長 伊福 弥生 |
1995年 産業医科大学医学部卒業
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代表専門医 副部長 里井 明子 |
2003年 関西医科大学医学部卒業
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医長 東 翔一郎 |
2015年 藤田医科大学医学部卒業
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宮本 晋之介 |
2003年 長崎大学医学部卒業
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