海外渡航のワクチンの対象者

海外渡航のワクチンの対象者

成人(ここでは高校生以上とする)の海外渡航のワクチンの対象者しては以下のグループがあり、それぞれの簡単な要点を述べます。

海外への留学や海外での就職

海外への留学や海外での就職に際し、健康診断書や予防接種が要求されます。
特に米国では学校への入学に際し、予防接種証明書が必要です。
日本で現在使用できない(1989年から1993年まで一時期日本では使用されていた)MMRワクチン(麻疹、ムンプス、風疹の混合ワクチン。麻疹ワクチンは2回接種が原則。)の接種や、ポリオワクチンの回数は4回(日本ではOPV2回のみ。現在不活化ワクチンのIPVは日本にはない)、B型肝炎ワクチン、Tdap(成人用百日咳、破傷風、ジフテリアワクチン)ワクチン、髄膜炎、ワクチン接種など、日本の予防接種プログラムと大きく違ってきました。
十分時間的余裕を持っての準備が必要です。
診察の際は母子手帳を持参して、医師による英文証明書の作成や抗体検査などが必要となります。
当院国際内科では、英文での入学就職等の予防接種、英文の証明書作成、健康診断等も毎日実施しております。

米国への移民ビザ

1996年のImmigration and Nationality Actの修正により、米国ビザ取得希望者は、the U.S. Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)の勧告するワクチン接種(予防接種)が必要となりました。
更に、2007年に、改訂があり、わが国でも2008年2月より、変更されております。
わが国には、成人に対する予防接種の概念がなく、本邦には未採用の予防接種もあります。

海外旅行のための予防接種

すべての海外渡航に際し事前の予防接種が必要であるわけではありません。
例えば、欧米への短期ビジネス旅行(但し、冬季のインフルエンザシーズンの旅行の場合同ワクチンの接種は勧められます)や通常の団体旅行(但し、アフリカや南米旅行の場合、行き先により黄熱ワクチンは必要)の場合です。
個人旅行の場合、行き先、都市滞在か田舎滞在の違い、旅行期間、目的、宿泊施設のランクなどにより、勧められる予防接種は様々です。
当科では破傷風とA型肝炎ワクチンを基本に必要なものを追加していきます。
特に長期の冒険旅行や取材旅行の場合、日本脳炎(現在、ワクチン供給が、ほとんどない)、狂犬病(現在もワクチン供給が不十分であり、接種は必要性を判断して実施している)、B型肝炎ワクチンの他、腸チフス(輸入ワクチン)、髄膜炎菌性髄膜炎(輸入ワクチン)等のワクチンなども勧められます。
旅行まで期間をよく相談し、医師と個別の予防接種スケジュールを作成します。

海外赴任のための予防接種

赴任先、目的により多いに異なります。
破傷風とA型肝炎を基本に、海外渡航のための予防接種が必要です。
又、妊娠適齢期で風疹抗体価のない女性は風疹ワクチンなども必要になります。
又、住居に現地の使用人が出入りするような場合、B型肝炎なども勧められます。
いずれも医師と相談し、個別の予防接種スケジュールを作成します。